アプリを開発・公開する上で、「コードを書くだけ」では済まないのが法的な責任。
特に収益化を目的とする場合、「知らなかった」では済まされない法律が数多く存在します。
この記事では、アプリ開発者・運営者が最低限知っておくべき主要な法律とリスク回避ポイントを、サブスク・課金・広告表示を中心にまとめました。
✅ 対象読者
- アプリ内課金や広告を導入している
- サブスクリプションを提供している
- ユーザー向けに効果効能・金銭的訴求をしている
- LPやSNSでアプリを宣伝している
🧭 開発者が関わる可能性のある主要法律まとめ
法律名 | 主な対象 | 罰則リスク |
---|---|---|
景品表示法 | 誇大広告・誤認表示 | 行政処分・課徴金 |
特定商取引法 | サブスクや返金、表示義務 | 指導・業務停止命令 |
資金決済法 | 前払い・仮想通貨・ポイント | 登録義務・罰金あり |
著作権法 / 商標法 | 音楽・画像・ロゴなどの利用 | 損害賠償・削除請求 |
薬機法(旧薬事法) | 健康・美容アプリの表現 | 表示修正命令・罰則 |
電気通信事業法 | ユーザー間通信や通話 | 届出制・規制対象あり |
🎯 特に注意すべき3つの法律
🧾 ① 景品表示法(景表法)
適用例:
- アプリ説明欄で「100%痩せる!」「最強の稼げるアプリ!」など過剰な表現
- 課金ガチャにおいて、排出確率やレア度を適切に表示しない
- 比較表示・効果検証に「根拠がない」
NG表現例:
- ✅ 「絶対に儲かる」「確実に痩せる」「永久無料」「最安値保証」
- ✅ 「人気No.1(出典なし)」など、根拠のないランキング表示
対策:
- 数字や根拠の明示(例:出典付きデータ)
- 定量的表現の裏付け資料を保管
- ゲーム内ガチャは確率表示が義務化(日本国内)
📜 ② 特定商取引法(特商法)
適用例:
- サブスクリプションアプリ(月額制など)を提供
- 初月無料→翌月自動課金などの自動更新契約
- 課金前に価格や更新条件を明記していない
表示が義務となる項目(抜粋):
項目 | 内容 |
---|---|
販売者名 | 個人開発者でも本名 or 屋号 |
メールアドレス | 連絡用に必須 |
商品価格 | 消費税込みの価格を明記 |
支払い時期 | 初回課金/次回更新タイミングなど |
解約方法 | どこからキャンセルできるか案内 |
対策:
- 「特定商取引法に基づく表示」ページを用意
- アプリストア上の説明欄にも明確な価格・条件記載をすることが重要
💰 ③ 資金決済法
適用例:
- ポイント制アプリ(有料コイン、ジェム、仮想通貨など)
- ユーザーが前払いして使うサービス
注意点:
- 有償残高が1000万円を超える場合は「前払式支払手段」登録が必要
- 仮想通貨や換金性のある仕組みは金融庁の管轄対象になります
対策:
- 「残高」や「通貨」の扱いを慎重に設計
- 換金性や譲渡機能は極力避ける(法的リスクが高まる)
📢 その他見落としがちな注意点
🎶 著作権・商標権
- フリー素材でも商用利用可かチェック必須
- 他社のアプリ名やアイコンに似た名称もNG(商標侵害の可能性)
💊 薬機法(美容・健康系アプリ)
- 「白くなる」「治る」「治療できる」など医療的表現は禁止対象
- 「◯日で10kg減」などの確定表現もNG
📡 通信・SNS機能がある場合
- 電気通信事業法の対象になる可能性あり
- ユーザー間のDM・チャット・通話などを含む場合、届出が必要
※他にもマッチングアプリなどを作ろうと思っている人は、制作→リリースに当たりクリアしなければいけない条件が厳しく設けられているのでご注意ください。
✅ まとめ:アプリ運営者も“事業者”です
アプリは趣味でも、公開し、ユーザーを集め、収益を得た瞬間に“事業”扱いになります。
とくに課金・サブスク・広告が絡む場合は、開発者も事業者としての法的責任が求められます。
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📌 実務向けチェックリスト(導入候補)
- アプリ内課金を導入している:□ 特商法ページ作成済
- ガチャ・報酬がある:□ 確率表示あり/誤認なし
- ポイント制・コイン導入:□ 資金決済法の対象確認済
- 効果表現・ビフォーアフター使用:□ 景表法・薬機法に該当しないか確認済
- 第三者素材使用:□ 商用OK素材/ライセンス明記済
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